マラケシュ 紅の墓標〜東京千秋楽〜

マラケシュ 東京千秋楽が楽天tvにあると聞いて観てきました!やっほう!新しいマラケシュだあ!
観ながら書き散らしていたものが以下に。
大劇場収録版とも被るところ多いけども!







蛇が笑っている。
砂漠で彷徨うクリフォードに絡みついて、笑っている。



蛇が表情らしい表情を浮かべるのなんて、ここだけでは?

役者がマラケシュの舞台に集ってくる。


シビさんの声だいっっすき!!

イヴェットなあすかちゃんサイッコーー〜!

ギュンターが語り出すと踊る蛇。しゃら、しゃらり。
さあ、物語の幕開けだ。

2画面構成なのはこちらもそうだけど、収録版より自然な編集。収録版はどうしてあんなチープな編集になってしまったんだ、ワイプ芸か〜い。こういうの見るとやっぱり生で観たかった〜とごねごねしてしまうな!生は生で目が足らなそうだけど!



リュドヴィーク、相変わらず読めないひと。
どこかエロール様の面影をもつひと。
(私はエロール様@不滅の棘 贔屓です)

「私たちは異民族で異教徒です。本当のところ、理解はできませんよ。初めからわからないと思ってしまえば、そのほうが楽ですよ、人と人なんて。」

軽口めいて言ってはいるけど意外とこれが本心というか本質なのかも。

彼は理解しようとするのをはなっから諦めてしまったのかもしれない。外国人だからという理由だけではなく。ある種の防衛本能めいているそれはマラケシュに辿り着いてから?もっと以前から?わからないけれど。

分かろうと思わないから、他者からどんな形であれ想いを寄せられても無頓着。乾ききっている。表向きはあんなに優美でも。なんてね。



オリガのモノマネするレオン@樹里ぴょんカワイイ。

ところでレオンが世界には馴染んでいるのにどことなく浮いてしまうのは、言葉は最悪だけども物語には必要でないからかな。

結局のところリュドヴィークとイヴェットの物語が主軸で、それに絡まる糸のオリガ、に纏わるクリフォード……だと個人的には思っているので。
ありもしない華のパリ、そこに行けば何かが開けるんだ、という夢を追うひとであって関わりなくはないんだけどなー。

いや、好きですよ。私は。
樹里ぴょんもレオンも好き。
でもリュドヴィーク、レオンに対してマラケシュという最果ての風景の一部というか、もっと言ってしまえばその他大勢としか見てな……いように感じてしま……切ない。

レオンがどうこうでなく、誰も見てないような。
あ、うーん、コルベットは例外として。彼は「マラケシュの風景」ではないし。後述。

アリ〜かっこいいよ〜〜〜!さおたさ〜ん!
悪いかおが似合う〜!




しゃらしゃらり。
孤独のひとに蛇が寄り添う。

遠く国を離れ辿り着いた場所
縋る神の名もまるで違う名前
もしも此処で死ねば魂は何処へと
捨て去った故郷にも神の慈悲はない

逃げ込んで行き止まる 仮初のオアシスの街
生きていく意味さえも分からずに時は流れて……

「リュドヴィーク!」
暗晦な独白を振り払うような彩音ちゃんの若い声!笑かわいい〜!

上流階級の奥様こと翔つかささんとの絡み(退団公演だったんですね)、東京楽ver話に聞いていたので見たかったんだよ〜!
アランフェス!笑笑
熱烈なくちづけ!!
ええ、ええ、めっちゃ盛り上がりましたよ。
巻き戻しちゃったよ。
だって〜!エドガーとカメリアじゃないっすか〜!!
私不滅の棘でもカメリアとの絡みでありえんほど興奮してしまうオタクですもん。
やだもう、こっから急に不滅の棘始めていただいてもよろしいのよ???(は???)
そしてリュド…ってかオサさんをどかしてキスするコルベット……じゃなく組長さん笑笑
楽しい!

その後、ベドウィン兄妹登場。

リュドが彼らに「彼はノマドだ」と評され。
コルベットが「あなたも同じ。星を辿って旅する人の瞳のいろ」「帰る家を持たぬ人の目をしている」と言われるのがたまらなく好きなんですよね。
彼も異邦人で、逃げ延びて最果ての地に辿り着いた人で。
なんならリュドヴィークをマラケシュに導いた人物でもある、んだよね?
コルベットとリュドヴィークは違う。
コルベットは悪人だけど愛を知ってて、たとえそれを手放しても自分を見失いはしない。酸いも甘いも噛み分ける大人だから。
そんな彼だけれどノマドの瞳をしている。彼も帰れない人なんだろう、それを表にだして嘆くこともするような歳ではなし、悪党の自分に帰ろう場所もあるはずなし、こうしてただマラケシュで生きている。
かわいい娘もいる。父子愛のような情を抱く部下もいる。
でも彼は飢え求める目をしたまま。きっとこの先も。
矛盾するかもだけど、リュドヴィークにとってコルベットが特別なように、コルベットもリュドヴィークを特別大事に思ってそうではあるんだけどなあ。パリの掃除夫の頃からの付き合いでしょ、もう結構なパートナーじゃんね……。変な意味でなくても。まあ変な意味でも私はウェルカムなんだけど(……)。

……さては私ドン・コルベットむちゃむちゃ好きだな?


「夢しか持てなかった」と歌うリュドヴィーク。
形ないそれは、どんな色をしていたのか、覚えているのかしら、リュドヴィーク……。
傷痕がつく前の肌の色を思い出せる?リュドヴィーク……。
(キモオタポエム発動中)


いやー、あのー、こんなこと言ったらアレですが。
オリガの魅力がね、わかんないのよね……。

オリガにデザートローズのことをぶっちゃけちゃって「貴女には吹っかけられない」と言ってても「そうけ?」と思っちゃ……。いいカモやん?(酷)

「心残りばかりですよ、パリには。」

さて、夢と野望に燃えるレオン。
静止のなか、蛇が踊る。
蛇と踊る。
蛇が見ている。

終始まっつの声が優しくていいな〜。
カモられてんのも似合うな〜。

ソニア「イヴェット、いい男だからって軽々しく口を聞かないで」
レオン「ごめん、もうちょっと若いほうが好みなんだよね^^」
千秋楽ならではのアドリブ!笑
ズーーーンと考え込んでしまうマラケシュにおいてンフフッと笑えるのは貴重!笑
レオン「(イヴェットに)あんた、リュドヴィークとも知り合いらしwいなwwwん?どした?www」
笑っちゃってるしwwwあすかちゃんもwww

いやあ、オリガとイヴェットの対峙の場面あすかちゃんおっかなくて最高。「あらやだ、あなたお馬鹿さん!?」い、言われてェ〜!!
所在なさげなまっつ。突き飛ばされるまっつ。かわよ。

リュドが来て、仕事の話だろうっつって「こっちへ行こう」とレオンが先にリュドにだけ話を持ちかける。
それを不満そうな微妙な表情して見ているアリ。ここでアリを映してくれるのはよっナイスカメラ!
白人とベルベル人のハーフなレオンだけど、所詮あいつも白人贔屓だ、ってどこか思ってたりとか。アリたちがね。

リュドとレオンの掛け合いの歌も聴き込みたいし後ろのさおたさんたちもカッコ良いでどうしたらいいのかわからん。

しかしレオンの計画は杜撰すぎるので(まあそうでなければだけど)、ねえ。

「信じるなよ」の仕草ははムラのほうが色っぽくて好きかも。



お、クリフォードとオリガのデュエット。
ここって追加?

クリフォードがどう見たって過去愛したバレリーノよりいい男なので愛を自覚できないオリガにいまいち感情移入できないよ〜。こんないい男がまっすぐ自分だけ愛してくれたらころっと愛しちゃいますけど……。

追加シーンの割にはあっさりめ。


イヴェットとコルベットのシーン。ここも好き。
んで、えっ、ちょっ。
ちょっと待ってっ。
イヴェット「貴方がリュドヴィークをマラケシュに呼んでいたのね」
コルベット「あの事件の後、彼を探し出して。以来ずうっと一緒だ」
イヴェット「今では立派に、貴方がたの仲間というわけ」

こ、こここ、このコルベットの台詞ムラ版でもあったっけ???
確認してきた。ない!!!

腐オタを萌え殺す気!?!?(とうとうぶっちゃけたよ)

そうか、ずうっと一緒か……そうか……。


過去のパリでのあやまちの恋に思いを馳せるリュドヴィークとオリガ。

舞台は幻のパリへ……。
夢は死んだと歌うシビさんの歌声が素晴らしい。

度し難い馬鹿者たちは未練断ち切れずに
壊された家の門を叩く──。

壊れた家じゃなく壊された家、か。


「ボンジュール、ボンソワール!」
今日のあたしを抱くのはだれなの?
あ、あ、あすかちゃんさいこ〜!!

わ、東京の若リュド…既に苦渋を味わって生きてきたかおをしている……。

イヴェットからのキスをさりげなく紳士にお断りするドンが素敵。優しい人ね、ムッシュ

貧しい故郷は捨てた
野良犬のようにパリの片隅に落ちている幸せを探す

イヴェットの物悲しい歌声がね、うん、好きだわ……。

このイヴェットとリュドヴィークがね、惹かれ合うのもね、なんかこう「わかる……!」というか。実際、よその恋人たちみて「わかる!」なんて思わないんだけど笑、物語のような恋、悲恋のいろ、なんだよなあ。

んでここでオリガの回想とリンクするのだが、うーん。
言っちゃえば箱入りのお嬢様が趣味の悪いタチの悪い男に騙されただけなんよな……。

ネタばらしされて振られて泣き濡れた雨の中のオリガに一目惚れ?したクリフォード。いい男だなあ。

いやでも、それはさておきリュドイヴェカップルが見たいわ。これ生で観劇していたらオペラずっとそっちに向いてただろうなあ。音楽が切なくって、2人の表情もまた、いいんだ。
なんかな……事件がなくてもきっとリュドイヴェは幸せにはなれなかったとは思うんだけど、そんな、そんな刹那の恋っていうほろ苦い空気感がほんとうに綺麗で。

(ここの音楽すごく綺麗で好きなんですけど、ぽっちゃんぽっちゃんいってるのは何?涙にしては質量のあるぽっちゃんだ。みなさまの考察プリーズ。)

金の薔薇を競り落としたドン・コルベットが、愛する娘に渡そうと見遣ると愛し合う恋人たち。ドンはリュドを呼び寄せ、その大役を任せる。臆したように一歩引く若いリュドの手に愛の贈り物を託すコルベット
優しい人ね、ムッシュ……。

「これが僕からの/貴方からの本当の贈り物だったなら──。」

そう歌い上げるリュドヴィークとイヴェットのシーン、マラケシュで一番好きかもしれない。ムラ版もすき。


ところでギュンターについてはまだまだ考察不足。
ま、のちのち。おいおいに。

そして夢は醒める。


何かを始めなければならない朝が不安。
始めればいい。とりあえず、何かを。

貴方のそばに居ると、あの日のパリを思い出します。
まるで心細かった、あの日の自分に戻ってしまった気がして。堪らなく寂しいんです。

リュドヴィークの静止も聞かず捲し立てるオリガ。

初見感想で「リュドはオリガが空虚だからその瞳に写る自分を愛したのかな……」なんてあんまりな感想を残してるんですが。

うん、やっぱりお互いの瞳に映る自分自身、あるいはかつての幻のパリ、夢の名残りを愛していますね、2人とも。

「だから今、私たち幻を抱き合っているんです!」
「ただの幻」
「でもそれだけが、私が欲しかったものなんです!」

「だってこれは、もう終わってしまった恋を私たち始めようとしているだけなんですもの!」
「ただ、行き場のない想いを弔うためだけに──。」

お、おう。
なんかここ、リュドが胸の痛みをぐっと堪える苦しいトーンで語っているのにオリガが熱に浮かされたように朗々と大仰に語り上げるもんだから2人の溝が余計に感じられてしまう。同じ傷を抱えてるっていうけど、傷の深さが、違くね……?

そうこうしていると測量隊の1人が見つかる。

胸に去来するいろんな思いを振り払うように唐突に2人でパリに行こうなんて言い出すリュド。

そんなパリは、もうこの世のどこにもないこと知っていながら、そのことに目を背けるように。

パリからやり直すんだ、そして朝を迎えよう。
諦めてた夢を拾いに。

ねえリュドヴィーク、そこに夢はもう転がっていないよ。年月は誰にでも平等に重なっていく。
あの日出会った輝かしいムーラン・ルージュはもうないのよ……。


リュドヴィークとイヴェットの離別の歌が苦しいよおおおうわぁああん。過去の古傷でも愛があるもの……。

ギュンターが彼女の薔薇を執拗に追い求める。

忌まわしい罪の記憶 忘れたいけど
あの薔薇 あの人から貰ったものよ──!

イヴェットぉぉおお( ;;)

追い詰められて手首に傷を刻むイヴェット。

何もかもが変わっていくのに耐えられずに
自分でつけた傷跡を貴方のせいにしてた
大人になれない幼い私の恋を、ねえ、捨ててきて……。

イヴェットぉぉおおおお( ;;)

向こう見ずな悲劇に酔って 誰ひとり救えずにいた
薔薇の思い出を弔う旅路は一人行くべきだ

リュドヴィークぅぅううう( ;;)


やっぱりさあ……!!つまるところこの2人の物語でさあ(以下同文)


ギュンター対リュドヴィーク。
ギュンターは結局のところどうしたかったんだろうな。
その血で罪を贖え、ってなわけで、彼にとっての(薔薇を穢した)罪人のイヴェットとリュドの血に塗れた金の薔薇をその手に納めたかったのか?それもそんなにしっくりこないな。

しゃらしゃらり。
蛇は佇む。
終焉が近い。



アリのさおたさんがカッコいいって序盤からキャッキャしてましたが、最後の容赦のなさね。たまらんね。退団同期にこれを……笑



パリへは行けないとオリガに告げるリュドヴィーク。
うん、ここのやりとりもな、リュドの状態(腹ぶっさされ)を知らないにしても、自分のことしか考えてないように聞こえちゃうんだよな、オリガ。酷いひと、って、あなた不倫やし……最終的に金の薔薇手にしてにっこりしちゃうし……。

──あなたの幸せはどこにあるんですか。
少なくともここにはない。この地上のどこにも──。

印象的な台詞。
彼の身体が生き延びても絶え果てても、彼の魂は孤独を彷徨い続けるような気がする。

ならばせめて、現世にとらわれる生身の身体くらいは解放されていてほしいものだけれど。


しゃらしゃらり。
役者が舞台を去り、蛇が舞う。









は〜〜〜!
マラケシュ、大好きだな〜〜〜!!!